赤えびの里系統、とにかく赤いミナミヌマエビと繁殖のコツ

めだかと赤いミナミヌマエビ

十数年前、アクアリウムの世界に足を踏み入れたとき、私が最初に飼育したのがミナミヌマエビでした。小さくて目立たない存在ながら、水槽内をせわしなく動き回り、コケを食べてくれる働き者です。熱帯魚や水草ほど派手ではありませんが、その健気さと丈夫さに次第に魅了されていきました。

特に2015年頃からは赤いミナミヌマエビにこだわり、現在では赤い個体のみを累代飼育しています。赤いエビが水槽にいるだけで、ガラス面や流木、水草の緑と鮮やかなコントラストが生まれ、水槽全体が華やかになります。


ミナミヌマエビの魅力 ― ほったらかしでも殖える

ミナミヌマエビの最大の魅力は、「ほったらかしでも自然に増えていく」ことです。
私自身、日中は仕事で家を空けることが多く、時には数週間、場合によっては数か月ほとんど水槽に手をかけられないこともあります。それでもエビたちは、水槽の中でコツコツとコケを食べ、仲間とともに元気に動き回っています。

見ているだけで癒されますし、気がつけば新しい稚エビが増えているのです。この「ほったらかしでも殖える」という特性は、仕事や家庭で忙しい人にとっても大きなメリットです。


冬場の飼育と餌やりの工夫

冬の管理も重要です。屋外水槽では水温が下がるため、エビの動きは鈍くなります。基本的には餌を切ってしまいますが、暖かい日に覗くと活発に動くことがあります。そのときには少量の餌を落とすようにしています。

注意したいのは「残餌の管理」です。食べ残しがあると腐敗して水質が悪化し、エビの健康に影響します。ですから、冬場は基本的に餌切りを行い、与える場合も少量にとどめ、必ず水槽内をチェックします。この管理方法が、ミナミヌマエビを健康に冬越しさせるポイントです。


コケ取り要員としての働き

ミナミヌマエビは個体の力は弱いですが、数が揃うと驚くほどの働きを見せてくれます。水槽内のコケを群れで少しずつ食べ、ガラス面や水草の葉をきれいにしてくれます。

柔らかいコケやガラス面の薄いコケに特に効果的で、魚や貝と組み合わせれば、自然にバランスのとれた水槽環境が維持できます。エビたちのコツコツした作業が、水槽を健康に保つ大きな力になるのです。


赤いミナミヌマエビの楽しみ

私が特に夢中になっているのが赤いミナミヌマエビです。赤い個体だけを水槽に集め、繁殖を重ねることで、徐々に「赤い群れ」と呼べる水槽ができあがりました。

選別作業も面白いポイントです。水槽には色の濃淡や模様の違う個体が混ざりますが、発色の良いものだけを残して累代を重ねることで、全体の赤みが強くなっていきます。こうして少しずつ理想の赤いエビを育てる過程が、飼育の楽しみのひとつです。


繁殖のコツ

赤いミナミヌマエビの繁殖は、特別な装置や餌がなくても可能です。基本は以下のポイントを押さえるだけで、健康な稚エビを増やせます。

  1. 水質の安定
    pHや水温を大きく変化させず、バクテリアのバランスが取れた水槽環境を維持すること。
  2. 隠れ家の確保
    マツモや流木を入れて、稚エビが隠れられる環境を作る。
  3. 餌の与えすぎに注意
    残餌は水質悪化の原因になるため、少量ずつ与える。
  4. 群れでの飼育
    個体数をある程度確保すると、繁殖率が安定しやすい。

これだけで、放置気味でも健康に殖やすことができます。冬場は基本的に餌切りで十分ですが、活発に動く日だけ少量与えると、稚エビの生存率が上がります。


まとめ

赤えびの里系統の赤いミナミヌマエビは、丈夫で増えやすく、コケ取りにも貢献してくれる頼もしい存在です。さらに発色の良い個体を選別して累代する楽しみもあり、飼育の過程そのものが面白く、奥深いものです。

「丈夫で増える」「とにかく赤い」「繁殖も簡単」という三拍子が揃った赤いミナミヌマエビは、趣味としても、観賞用としても魅力的です。これからも赤えびの里系統を育てながら、より美しい赤を追求し続けたいと思います。

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