さて、これから少しずつ気温が下がってくる時期になってきました。
実はこの時期、赤いミナミヌマエビを始めるには狙い目の季節です。
夏の間に一気に増えた赤いミナミヌマエビが出回り始め、比較的お得に入手しやすくなってきます。さらにまだまだ繁殖可能時期です。
そして、もう一つ大きなメリットがあります。
夏場に比べて輸送時の高温リスクが下がってくることです。
今年も「赤えびの里」では、おおむね大きな輸送事故もなく、多くの方へ赤いミナミヌマエビをお届けすることができました。
今年の夏には、なんと福岡から青森まで、ゆうパックで無事にお届けすることもできました。
数匹★になってしまったという報告が1件ありましたが、それ以外は大きな事故もありませんでした。
少ない水量でも、赤いミナミヌマエビは意外と丈夫
私自身、これまで長年にわたって赤いミナミヌマエビを発送してきました。
その経験から感じているのは、「水量が多ければ多いほど安全」というわけではないということです。
発送前の餌切りなど、いくつかの処置を行うことで、少ない水量でもコンパクトに梱包し、ゆうパックで比較的安全に輸送することができます。
ただし、距離が長くなればなるほど輸送時間も長くなるため、当然ながらリスクは高くなります。
特にゆうパケットなどでは、地域によっては到着まで4~5日程度かかる場合もあります。
短期間の輸送と長期間の輸送では、同じ梱包でも条件は大きく変わります。
その意味でも、これから気温が下がっていく季節は、夏場よりも発送条件としては有利な時期です。
「少し赤の濃いミナミヌマエビを飼ってみたい」
「普通のミナミヌマエビから、もっと赤い個体を増やしてみたい」
そんな方は、ぜひ一度、赤えびの里の赤いミナミヌマエビでチャレンジしてみてください。
赤いミナミヌマエビを濃くする最大のポイントは「赤い雄」
ここからが、今回の記事で一番お伝えしたいところです。
赤いミナミヌマエビを飼っていると、
「赤い個体だけを選んで繁殖させれば、どんどん赤くなるんじゃない?」
と考える方も多いと思います。
もちろん、それは間違いではありません。
しかし、ここには大きな落とし穴があります。
それが、
「赤い個体を選んでいたら、メスばかり選んでいた」
という問題です。
赤いミナミヌマエビを選別した経験がある方なら、一度くらいは経験したことがあるのではないでしょうか。
ミナミヌマエビは、一般的にメスのほうが大きく、丸みがあり、色も濃く乗りやすい傾向があります。
そのため、水槽を上から見て、
「このエビ、赤い!」
「こっちも赤い!」
と選んでいくと……。
気がつけば赤いメスばかり。
ということが普通にあります。
「赤いエビを10匹集めたのに繁殖しない」という落とし穴
そして、こんなことが起こります。
赤いミナミヌマエビを一生懸命選別して、10匹集めた。
大切に飼育して、数か月。
ところが……
なかなか抱卵しない。
「餌もあげている」
「水も悪くない」
「元気に動いている」
それなのに増えない。
そこで初めて、
「もしかして雄がいない?」
ということに気づく。
これは赤いミナミヌマエビを選別するときに、実際に起こり得る失敗です。
特に、「赤さ」だけを基準に選別していると起こりやすいので注意が必要です。
なぜ「赤い雄」が重要なのか
赤いミナミヌマエビを次の世代、さらにその次の世代へと累代していくのであれば、メスだけではなく雄側の選別も非常に重要になります。
ところが雄は、メスほど大きくありません。
さらに、メスのように全身が派手な赤色になる個体も多くありません。
そのため、初心者の方ほど、
「小さい」「細い」「透明っぽい」=選別から外す
という判断をしてしまいがちです。
しかし、これは非常にもったいない。
なぜなら、一見地味に見える雄の中にも、赤い色を持った個体がいるからです。
そして、赤いミナミヌマエビを累代していくなら、こうした雄を見逃さないことが重要になります。
ここが重要!赤い雄の見つけ方
では、実際にどうやって赤い雄を探せばいいのでしょうか。
ここからは、単純な「雄は小さくて透明」という話ではなく、赤いミナミヌマエビを選別するときに私が注目しているポイントを紹介します。
① まずは体型を見る
最初から「一番赤い個体」を探してはいけません。
まずは雄らしい体型をしている個体を探します。
一般的には、
- 体が小さい
- 細身
- 触角が比較的長い
- 腹部がスッキリしている
- 全体的にシャープな体型
といった特徴を持つ個体が雄候補になります。
ただし、ここで注意。
「小さい=雄」ではありません。
まだ成長途中の若いメスも小さいからです。
そのため、体型だけで決めず、次の「赤の入り方」を確認します。
② 「赤の濃さ」ではなく「赤の残り方」を見る
ここが赤い雄を探すときの重要なポイントです。
雄の場合、メスのように全身がベッタリ赤くならないことがあります。
だからこそ、単純に「一番赤い雄を探す」だけではありません。
私が注目するのは、
- 透明感のある体の中に赤みが残っている
- 背中側に赤が残っている
- 体側に赤い色素が見える
- 頭部にも赤みがある
- 尾部まで赤みが途切れず残っている
といった「赤の残り方」です。
一見すると、
「たいして赤くないな」
と思うかもしれません。
しかし、雄として見れば、そこに赤が残っていること自体が非常に興味深いポイントになります。
③ 上から見るだけではダメ
赤いミナミヌマエビを選別するとき、上見は非常に便利です。
しかし、雄を探すときには上見だけでは不十分です。
できれば横からも確認してください。
上から見ると透明っぽく見えた個体が、横から見ると意外と赤みを持っていることがあります。
逆に、上から見ると赤く見えても、実際にはメスだったということもあります。
簡単に言えば、
上から見る → 色と全体の印象を見る
横から見る → 体型と赤の入り方を見る
という使い分けです。
④ 「真っ赤な雄」を探しすぎない
ここは特に覚えておいてほしいポイントです。
赤い雄を探すからといって、「メスのように真っ赤な雄」を探し続ける必要はありません。
雄はそもそもメスとは色の出方が違います。
だから、
「この雄は透明だからダメ」
とすぐに決めつけない。
むしろ、
「雄らしい体型なのに、ここに赤が残っている」
という個体に注目します。
派手な個体ほど目につくのは当然です。
しかし、ブリードでは「目立つ個体」と「残す価値のある個体」は必ずしも同じではありません。
さらに重要なのが「その雄の兄弟」
ここからは、個体だけを見ているとなかなか気づけないポイントです。
赤い雄を探すときは、その雄だけを見るのではなく、その雄が生まれた水槽全体を見ることも大切です。
例えば、一匹の雄がそれほど派手に赤くなくても、その水槽に、
- 赤の濃いメスが多い
- 赤みの強い若個体が多い
- 透明感が少なく赤が残っている個体が多い
のであれば、その雄を簡単に選別から外さない。
逆に、たまたま一匹だけ赤く見える雄よりも、水槽全体に赤い個体が多い系統の中から雄を選ぶという考え方もできます。
つまり、
「個体を見る」のではなく「群れを見る」。
これが累代飼育では非常に重要な考え方になります。
赤いミナミヌマエビの選別は「赤さ」だけでは決まらない
赤いミナミヌマエビを濃くしていく作業は、単純に「赤い順番に残す」というものではありません。
色、体型、性別、成長具合、親個体、兄弟個体。
こうした情報を組み合わせながら、次の世代に残す個体を考えていきます。
特に雄の場合は、メスと同じ基準で見てはいけません。
「今どれだけ赤いか」だけではなく、「雄として見たときに、どれだけ赤が残っているか」を見ることがポイントです。
冬に向けて、今こそ「赤い雄」を探してみよう
これから冬に向かって屋外では水温が下がっていきます。
ミナミヌマエビは丈夫なので、屋外でもしっかり越冬してくれます。
一方で、積極的に繁殖を狙うのであれば、屋内で温度を安定させて飼育する方法もあります。
せっかく屋内で加温して、
「これから赤いミナミヌマエビを増やすぞ!」
となったときに、
「雄がいない……」
では、あまりにもったいないですよね。
これから赤いミナミヌマエビを購入する方は、ぜひメスだけではなく、雄にも注目してみてください。
そして、ただ「赤い個体」を探すのではなく、
「赤い雄」を探してみてください。
赤いミナミヌマエビのブリードは、単純に「一番赤いメスを集めるゲーム」ではありません。
本当に面白いのは、
「一見地味な水槽の中から、次の世代の赤を支える雄を見つけること」
なのです。
あなたの水槽にも「次の赤」を作る雄がいるかもしれない
水槽の隅にいる、
「ちょっと透明っぽい」
「小さい」
「あまり目立たない」
そんな雄の中に、次の世代の赤を支える個体がいるかもしれません。
今まで「赤くないから」と選別から外していた雄を、もう一度じっくり観察してみてください。
もしかすると、その一匹が、
あなたの水槽の「赤」を一段上げるキーパーソン
になるかもしれません。
赤いミナミヌマエビを「飼う」だけではなく、自分で赤を作っていく。
そこまで踏み込むと、ミナミヌマエビの飼育は一段と面白くなります。
